読書感想

長篠の戦い 矢野隆 戦百景

読んだ!読んだ!ずっと気になっていたのだけど、やっと読むことができた。長篠の戦いは中学の教科書とかでも屏風絵が紹介されているけど、詳しい背景が全然わからなかったのでこの小説を機に勉強してみた。

長篠の戦いは武田軍VS織田軍、徳川軍。武田軍は武田信玄が死んだばかりで勢い、統率力がなくなっている頃だったため、はじめから不利だった。長篠城の中には奥平家がいた。この奥平家はどちらの味方につくか迷っていたが、これからのことを考えて徳川側につくことに決めた。

長篠城には奥平家がこもり、そこに武田軍が攻めてきた。この段階では奥平家の兵数がかなり少なく武田優勢だった。そこで奥平家は織田と徳川に援軍を求めた。その伝令役をしたのが鳥居強右衛門勝商(とりいすねえもんかつあき)。長篠城から出て武田の包囲網を抜けることは自殺行為だった。鳥居強右衛門勝商は川をもぐりながら無事に織田と徳川のいる岡崎城にたどり着いた。地図を見ると長篠城から岡崎城は50kmぐらい離れているので移動するだけでも1日はかかる。地図を見ると長篠城から20kmぐらいまで豊川が流れている。合戦が5月なので結構寒かったんじゃないだろうか。この時代の侍が自国を思う気持ちの強さは計り知れない。俺なら嫌だ!でも死ぬのも嫌だ。鳥居強右衛門勝商はその寒い川をもぐりながら岡崎城へたどり着く。

鳥居強右衛門勝商が援軍が来ることを長篠城へ伝えに行こうとしたときに残念ながら武田軍に捕まってしまう。なぜまた川を潜って帰らなかったのか。でも往復100km以上は正直つらい。鳥居強右衛門勝商は長篠城の前で磔にされた。それはなぜか。自分の口で「援軍は来ない!」と伝えさせるためだった。この行いにはどんな効果があるのか。もし強右衛門が奥平家に向かって「援軍が来ない!」と伝えたら、援軍を頼って少数でやっと耐えていた奥平家は心底がっかりすることだろう。その結果士気は落ちて開場するだろうと思われた。少なくとも武田軍、武田勝頼はそう思っていた。もし「援軍が来ない」ことを伝えたら強右衛門には侍大将を約束していた様子。

いよいよ磔にされた強右衛門が長篠城の奥平家に向かってセリフを吐いた。皆の注目の中、口から出た言葉は「援軍が来る!だから耐えよ!というものだった。これに怒った武田軍は強右衛門を殺したが、時すでに遅し!長篠城の士気はあがりまくった。侍大将まで約束したのなら強右衛門が裏切ると思った武田軍の負けだ。鳥居強右衛門の忠義心を残すため立派な墓がたてられた。墓や磔された場所、狼煙をあげた場所が今でも残っている。落合佐平次という武田の臣は強右衛門の磔にされた姿を旗印にしたらしい。敵ながらあっぱれというところだろう。

武田軍は攻城戦に苦戦した。その間に後方から織田・徳川軍の援軍が到着した。城攻めをやめて織田・徳川軍に備えた武田軍であったが、織田軍はさらにそこに酒井忠次で奇襲をしかけた。武田軍は長篠城に入ることもできず、逃げることもできず、織田・徳川軍と真っ向勝負せざるを得なくなった。

武田軍は赤備えの騎馬隊で攻撃を仕掛けるが、織田軍の柵と土塁と鉄砲の守りに手も足も出ずに敗北することになる。

鉄砲の弱点であるリロード時間を補った戦法が使われて有名らしいが、先日読んだ「村上水軍の娘」では雑賀衆の鈴木孫一がすでにこの戦法を使っていたように書かれていた。どっちにしろ織田軍の圧勝だった。

1冊読んだだけで長篠の戦いのもろもろがわかってきた。あとはネットの刀剣ワールドで!この作品は8章が武将の名前で分けられていて、それぞれその章の主人公になっている。時系列もだいたいその流れの通りなのでわかりやすかった。だれが武田軍か織田・徳川軍かわからなくならないように注意!

武田勝頼の章で四人の重臣の名前がでる。高坂弾正、山県昌景、馬場信春、内藤昌秀。まだここまで勉強していないけど、いずれはこの4人の詳細も知っていけたらと思う。

すこーしずつ戦国の流れがわかってきたような気もする。気がするだけかもしれないが。