多摩川でのランニングを終えて家まで歩いている時1台の自転車に追い抜かれた。なんでもないいつも通りの風景。少しサビついた水色の自転車に乗ったおじいさんは同じぐらい錆びついていた(失礼かな?)。自転車の前のカゴには何も入っていなかったけれど、後ろのカゴにあるものが入っていた。
文庫本一冊が裸のままカゴの中におかれていたのだ。でもそれが嫌だったわけじゃない。むしろ「あぁこれでいいんだ」と思った。本があればどこでもいつまでも暇潰せる。それが本のいいところ。特にこんな天気のいい日は自転車で本を1冊だけ持ってどこかいい場所探し、座って本を読む。それだけで休日を気持ちよく過ごせる。そんなことを改めて感じさせてくれたのがこの錆びついた自転車に乗っていた錆びついたおじいさんだ。
自転車のカゴにおかれていた本があまりにも無造作過ぎて目に止まってしまったけれど、すごくほのぼのしたのだ。本のタイトルは見えなかったけど、官能小説でないことを願う。